実用品の刀
私は日本刀を「道具」と考えています。
前回、日本刀の価値は「骨董品・美術品」で決まる、と書きましたが、どんなに見た目が素晴らしくても、鈍ら刀では価値が無いと思います。
竹や巻き藁を斬る目的で刀が欲しいのであれば、「美術品」の刀ではなく、「実用品」の刀を買う必要があります。もちろん見た目もきれいでよく切れる名刀もあると思いますが、それを試し斬りに使うのはもったいないです。
実用品の刀とは
「実用品」の刀は
①刃こぼれしない
②刀身が曲がらない(曲がってもある程度は直せる)
③構えた時のバランスが良い
の三拍子が重要です。
①刃こぼれしない
刃こぼれするかどうかは実際に切ってみなければ分かりませんが、刃紋が参考になります。
刃紋の種類は色々ありますが、「直刃」と「乱れ刃」に大別されます。
丈夫なのは「直刃」です。
「乱れ刃」は刃の焼きの温度が一定でないため、弱いところから欠けたり折れたりするそうです。
②曲がらない
まあ、曲がるときは曲がるものですが、多少の曲がりは修正することができます。
曲がりが修正しやすい刀身を考えます。
刀身には樋が入っているものと入っていないものがありますが、樋が入っている刀身は一度曲がってしまうと樋が歪み、元の形に戻らなくなります。
曲がるリスクを考えると、樋無しのほうが良いです。
③バランスが良い
バランスが良い刀は、構えてみると下手な木刀よりも軽く感じます。
バランスの悪い刀は振り続けると肘を痛めてしまいます。
実用品の刀は人気がない
「直刃・樋無し」の刀は地味で、あまり人気がありません。
居合道をしている人も、見栄えと樋鳴り(風切り音)の良さから、「乱れ刃・樋有り」の刀を好む方が多いと聞きます。
ですが実用美・Simple is Bestの刀として、私は「直刃・樋無し」の刀のほうが好きです。(安いし)